桐蔭学園女子弦楽部を卒業しました

僕が43歳、ドイツから帰国して10年、演奏家として活動が漸く軌道に乗り充実し始めた頃、桐蔭学園の女子弦楽部の指導を引き受けて貰えないかとお誘いを受けました。自分自身の演奏で精一杯なので音楽の指導に時間を費やす余裕はないと思いましたが、故鵜川校長先生の音楽に注ぐ情熱と、初対面の部員達の音楽に向かう真っ直ぐな眼差しに心動かされてお引き受けしました。僕の人生にこれまで想定していなかった新たなページが加わりました。あれから27年、部員の皆さんと音楽作りを続ける中で貴重な体験と素晴らしい時間が沢山生まれました。指揮をする立場としてスコアの隅々まで読んで合奏に臨む作業は音楽の魅力を再発見できるものであったし、コントラバスを演奏する一演奏家にとってまたとない学びの機会ともなりました。教えてあげるのではなく共に学ぶ事が出来る貴重な場でした。弦楽部の活動に関われた幸運に感謝の気持ちしかありません。弦楽部の音楽活動が今後も途絶える事なく続くよう心から願っています。 

僕が今日まで自分の人生を無事に生きてこられたのは、自分にとって音楽という大切なものがあったからなのだと思っています。音楽こそが自分が自分らしくいられる場所です。これから弦楽部のない新たな自分探しをしていきます。